クラウドリフト&シフト
読み方: クラウドリフト アンド シフト
クラウドリフト&シフトとは
クラウドリフト&シフトとは、アプリケーションやシステムをクラウドに移行する手法の一つです。従来のオンプレミス環境のシステムをそのままクラウド上に移行(リフト)し、徐々にクラウド環境に最適化(シフト)します。
「クラウドリフト」は、既存のアプリケーションやシステムをそのままクラウド環境に移行することを意味します。一方、「クラウドシフト」は、これまでのオンプレミス環境のシステムを使用せず、既存システムやアプリケーションをクラウド環境に最適化すべく改修を行います。
クラウドファーストが浸透しつつある中で、クラウドリフト&シフトは業務への影響を抑えながらスムーズに移行することができ、クラウド移行戦略の一つとして高い注目を集めています。
クラウドリフト&シフト手順
1)アセスメントとプランニング:現在のアプリケーションやシステムを評価し、移行の計画を策定します。
2)クラウド環境のセットアップ:クラウドプロバイダー(Amazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloud Platformなど)でアカウントを作成し、必要なリソースをセットアップします。
3)仮想化:オンプレミス環境を仮想化し、仮想サーバーを構築します。
4)アプリケーションの移行:仮想サーバーをクラウド環境に移行します。
5)データの移行:アプリケーションに関連するデータをクラウド環境に移行します。
6)テストと検証:移行後、クラウド環境でアプリケーションのテストと検証を行います。
7)本番環境への切り替え:テストが成功したら、本番環境への切り替えを行います。
クラウドリフト&シフトのメリット
・柔軟なスケーラビリティ
クラウドリフト&シフトにより、需要の変動に合わせて柔軟にリソースをスケーリングすることができます。これにより、アプリケーションやシステムのパフォーマンスを最適化し、ユーザーに一貫して良い体験を提供することができます。
・コスト削減
クラウドプロバイダーは従量課金やオンデマンドのリソース提供を行っており、必要なときに必要なだけのリソースを利用できます。クラウドリフト&シフトにより、インフラストラクチャの運用コストを削減することができます。
・高い可用性とセキュリティ
クラウドプロバイダーは高い可用性と信頼性を提供し、冗長化やバックアップなどの機能を備えています。また、セキュリティ対策も専門的に行われており、データの保護やセキュリティリスクが軽減され、安全かつ頼りになる環境でアプリケーションを実行できます。
クラウドリフト&シフトのデメリット
・依存性とロックイン
クラウドリフト&シフトを行うと、特定のクラウドプロバイダーに依存することになります。移行後に別のプロバイダーに切り替える際には、アプリケーションやシステムを再設計する必要が生じる場合があります。また、特定のクラウドプロバイダーの独自機能や制約に依存している場合、移行の際に制約が生じる可能性があります。
・データの移行と整合性
オンプレミス環境からクラウド環境にデータを移行する必要があり、大量のデータを効率的かつ正確に移行することが課題となる場合があります。また、移行中にデータの整合性が損なわれるリスクも存在します。データの移行計画とテストは慎重に行う必要があります。
・ネットワークとパフォーマンス
オンプレミス環境からクラウド環境へのネットワーク接続が必要となるため、適切なネットワーク帯域幅やレイテンシの確保が重要であり、パフォーマンスに影響を与える可能性があります。特に大規模なデータ転送やリアルタイムなアプリケーションに対しては、ネットワークの設計と最適化が必要です。
現場の声
「データセンターでのオンプレミス運用は、専有するラックや人件費等のイニシャルコスト、ランニングコストで比較的高額になるため、よりエラスティックでイニシャルコストの低いクラウド環境への移行が進んでいます。
ただ、アプリケーションに求められる信頼性や可用性、性能要件によっては、全てのケースで必ずしもオンプレミスからクラウドへの移行が正解とも限らないため、適用されるケースを見極めクラウドプロバイダーとの相談の上、適切な計画を立てクラウドへの移行を進めることが必要です。」
<執筆・監修>
アルサーガパートナーズ株式会社 DX技術用語集制作チーム
(2023年5月時点)