Edge Computing
読み方: エッジコンピューティング
Edge Computingとは
ネットワーク上で処理を行う際に、クラウドや中央のサーバーではなく、データが発生する端末やデバイスの近く(エッジ)にあるコンピューター処理をするコンピューティング手法です。
従来のクラウドコンピューティングでは、データはユーザーのデバイスからクラウドに送信され、クラウド上で処理されます。しかしエッジコンピューティングでは、データはユーザーのデバイスから近くのサーバーやデバイスに送信され、そこで処理や分析が行われます。これにより、ユーザーがリアルタイムに処理結果を取得できるため、応答時間が短く、帯域幅やクラウドコストも削減されます。
Edge Computingは、IoT(Internet of Things)やスマートファクトリー、自動車産業、医療機器など、様々な分野で活用されています。
Edge Computingの活用例
・スマートファクトリー
工場内に多数のセンサーや機器があり、リアルタイムにデータを収集し、処理することが求められます。エッジコンピューティングは、工場内の機器でデータを処理し、適切なタイミングでクラウドにデータを送信することができます。例えば、製造ラインでの検査データの処理や、製品の品質管理などが挙げられます。
・自動車産業
自動車には、多数のセンサーやカメラが装備されており、そのデータを処理することが必要です。エッジコンピューティングは、自動車内のコンピュータでデータを処理し、安全運転支援や自動運転技術などに役立てることができます。
・医療機器
医療機器は、患者のデータを収集するために使用されます。エッジコンピューティングは、医療機器内でデータを処理し、医師が必要な情報をすぐに確認することができます。例えば、心電図モニターでの心拍数の監視や、血糖値測定器での血糖値の測定などが挙げられます。
活用のメリットとデメリット
■メリット
・高速処理とレスポンス
データ処理をクラウドや中央のサーバーではなく、エッジにあるコンピュータで処理することで、データの処理速度が向上し、レイテンシーやネットワーク遅延が低減されます。これにより、リアルタイムな応答や高速な処理が可能になります。
・セキュリティの強化
データの処理や解析、ストレージをエッジに近い場所で行うため、ネットワーク上でデータを送信する必要がなく、漏えいリスクを低減することができます。
・ネットワークの負荷軽減
エッジにおける処理により、ネットワーク上でのデータ転送量を削減できます。データがエッジで処理されるため、センサーデータなどの大量のデータがクラウドに転送されることを避けることができます。
・オフライン環境での利用
エッジにデータを保持することで、ネットワークに接続されていない場所でもデータの処理が可能になります。このため、オフライン環境下でもデータの収集、処理、および分析が可能になります。
■デメリット
・機器の故障リスク
コンピュータやサーバを分散させるため、システム全体の信頼性に影響を与える可能性があります。エッジデバイスの故障や停止によって、システム全体が影響を受ける可能性があります。
・コストの増加
エッジデバイスの導入やメンテナンスにかかるコストが増加する可能性があります。また、エッジデバイスの数が増加すると、ネットワーク接続やデータストレージのコストも増加する可能性があります。
・スケーラビリティの制限
単一の端末に依存するため、スケーラビリティに制限があります。エッジデバイスの処理能力に限界がある場合、システム全体の処理能力も制限されます。また、エッジデバイスの増加に伴い、システム全体の管理が複雑になる可能性があります。
現場の声
従来の単一のリソースに依存するアーキテクチャでは、クラウドを利用していたとしてもどうしてもスケールの限界やレイテンシ上実現が難しいものがありましたが、エッジコンピューティングリソースを活用したアーキテクチャは物理的な制約を解決する面もあるので、これからよりコンシューマサイドにデジタル機器が増える世の中で様々なソリューションに繋がるのではないかと期待しています。
<執筆・監修>
アルサーガパートナーズ株式会社 DX技術用語集制作チーム
(2023年4月時点)