結果整合性
読み方: けっかせいごうせい
結果整合性とは
結果整合性(Eventual Consistency)は、分散システムにおいてデータの一貫性を保つための整合性モデルです。このモデルでは、データの更新が全てのノードに伝播するまでに時間がかかるものの、最終的には全てのノードが同じデータを保持することを保証します。
つまり、一時的には不一致が生じる可能性がありますが、最終的には整合性が確立されます。これは、高可用性とスケーラビリティを重視するシステムにおいて特に重要です。例えば、分散データベースやクラウドストレージなどで用いられます。
比較される強整合性とは
強整合性(Strong Consistency)は、分散システムにおいてデータの一貫性を即座に保証するモデルです。このモデルでは、任意のノードでデータの更新が発生すると、全てのノードが即座にその更新を反映し、一貫した最新のデータを提供します。例えば、銀行のトランザクションシステムでは、強整合性が求められます。これにより、ユーザーは常に最新の正確な情報を受け取ることができます。
強整合性のメリットは、データの信頼性と一貫性が高く、アプリケーションが予測可能な動作をすることです。しかし、全てのノードに即座に更新を反映させるため、システムのパフォーマンスやスケーラビリティが制約されることがあります。特に、大規模な分散システムやネットワーク遅延のある環境では、遅延やスループットの低下が問題となることがあります。用途に応じて、強整合性と結果整合性のどちらが適切かを選ぶことが重要です。
結果整合性のメリットとデメリット
■メリット
・高可用性
システムの一部が障害を起こしても、他の部分は正常に動作し続けることができます。これにより、システム全体の可用性が向上します。
・スケーラビリティ
複数のノードでデータを分散して管理するため、システムの負荷分散が容易になり、大規模なデータセットでも効率的に処理できます。
・パフォーマンス向上
データの即時同期を必要としないため、読み書き操作が高速に行えます。これにより、ユーザーに対するレスポンス時間が短縮されます。
■デメリット
・一時的なデータ不整合
全てのノードにデータが伝播するまでの間、一時的にデータの不一致が発生する可能性があります。このため、アプリケーションによってはデータの整合性をすぐに必要とする場合に問題となります。
・データ整合性の管理が複雑
一貫性の確保が最終的にしか保証されないため、開発者は不整合が発生する期間のデータ処理やユーザーへの影響を考慮する必要があります。
・整合性の確認が遅延する可能性
データの最終的な整合性を保証するために一定の時間が必要となるため、リアルタイムでの正確なデータ確認が困難です。これが業務プロセスに影響を及ぼすことがあります。
現場の声
結果整合性は分散システムやNoSQLの文脈でよく耳にする用語ですが、RDBMSでも負荷分散のためにレプリケーションを行っている場合には考慮しなければなりません。実施する業務プロセスが結果整合性を許容できるかどうかを分析し、適切な整合性レベルを選択することが重要です。
<執筆・監修>
アルサーガパートナーズ株式会社 DX技術用語集制作チーム
(2024年5月時点)