大規模言語モデル(LLM)
読み方: ダイキボゲンゴモデル
大規模言語モデル(LLM)とは
大規模言語モデル(LLM:Large Language Models)とは、大量のテキストデータを使ってトレーニング(学習)された自然言語処理のモデルのことです。
翻訳、チャットボット、AI アシスタントといった自然言語処理アプリケーションの高速化に加え、大規模言語モデルは、ヘルスケア、ソフトウェア開発、またその他多くの分野で利用されています。
大規模言語モデルの代表例としては、2018年にGoogleが発表した「BERT」や、2020年にOpenAIが発表した「GPT-3」などが挙げられます。2022年12月に発表された「ChatGPT」は、2022年初頭にトレーニングした「GPT-3.5シリーズ」をチャット(対話)向けにファインチューニングしたもので、大規模言語モデルの応用例の一つです。
大規模言語モデルの活用例
・仮想アシスタント
会話型の仮想アシスタントやチャットボットとして活用されます。ユーザーとの対話を通じて質問に答えたり、タスクを実行したりすることができます。例えば、顧客サポート、予約管理、情報検索などの機能を持つ仮想アシスタントがあります。
・文書生成と要約
与えられた情報や要件に基づいて文章を生成し、論文の要約、ニュース記事の生成、ブログポストの自動生成などのタスクを実行することができます。
・コード生成と自動プログラミング
コード生成や自動プログラミングのモデルは、自然言語での要求や説明に基づいて、プログラムの断片やスクリプトを生成することができます。これにより、プログラミングの初心者や非開発者が容易にコードを生成できるようになります。
・機械学習の補助
機械学習のタスクにおいて活用されます。データの前処理、特徴量エンジニアリング、ハイパーパラメータの調整などに関する助言や自動化を行うことができます。また、モデルの性能評価やデバッグにも役立ちます。
活用のメリットとデメリット
■メリット
・複雑な自然言語タスクを実行できる
以前は人間が行う必要があったものですが、大規模言語モデルによって文章生成や質問応答などの複雑な自然言語タスクは自動化することができるようになります。
・自然言語処理の精度が向上する
大量のテキストデータを学習することで、文章生成やテキスト分析などのタスクで高い精度を達成します。これにより、機械翻訳やチャットボットなどのアプリケーションで優れた性能が発揮されます。
・ゼロショット学習
一部の大規模言語モデルは、特定のタスクに対する訓練なしに、そのタスクを高い精度で実行できます。これにより、新しいタスクに対応するための学習コストが大幅に削減されます。
・高度な文脈理解ができる
関連する情報や状況に基づいて適切な答えを導き出す能力を持っているため、状況に応じた個別のソリューションを提供することができます。
■デメリット
・計算リソースとコスト
大規模言語モデルの学習には、大量の計算リソースと高いコストがかかります。 これは、一部の研究者や企業にしか利用できない状況を生んでいます。
・倫理的問題
学習データ中のバイアスや偏見を引き継ぐ可能性があるため、不適切な言語生成や、特定のグループに対する不利益を引き起こすことが考えられます。
・信頼性の欠如
大規模言語モデルが生成するテキストは、必ずしも真実や正確さを反映しているわけではありません。そのため、大規模言語モデルの出力に依存しすぎることはリスクが伴います。
・データのプライバシーとセキュリティ
トレーニングデータに基づいて学習するには大量のデータが必要です。個人情報や機密情報が含まれる可能性があり、データのプライバシーやセキュリティのリスクが懸念されます。
・バイアスやエラーの潜在性
トレーニングデータから学習するため、データセットに含まれるバイアスやエラーがモデルに反映される可能性があります。その結果、不正確な情報や偏った意見が生成される場合があり、適切なフィルタリングや監視が必要です。
現場の声
LLMは従来の言語モデルのパラメータ数を増やしたことで性能改善されたモデルですが、動作原理としては従来の言語モデルから大きく変わるものではないため依然モデル上の限界があります。
また著作権や倫理的問題等AIでの生成物に関する法的規制も今後必要になっていく中で原理と限界を理解してここぞという箇所と用途で使われることを期待しています。
<執筆・監修>
アルサーガパートナーズ株式会社 DX技術用語集制作チーム
(2023年5月時点)