DX技術用語辞典

by Arsaga Partners

NewSQL

読み方: ニュー・エスキューエル

NewSQLとは

NewSQLは、従来のSQLデータベースシステムのスケーラビリティやパフォーマンスの課題を解決するために設計された新しいデータベースシステムです。従来のリレーショナルデータベース(RDBMS)の機能を保持しつつ、大規模なデータセットを効率的に処理できるように設計されています。

従来のSQLデータベースシステムでは、大規模なデータセットや高トラフィックの場合にスケーラビリティやパフォーマンスの制約が生じることがあります。これに対し、NewSQLデータベースは、分散処理や並列処理、そして複数のノードにデータを分散させることで、これらの問題を解決することができます。

特徴的な例としては、GoogleのSpannerやCockroachDBなどが挙げられます。これらのシステムは、従来のRDBMSと同様のSQLインターフェースを保持しつつ、大規模なデータセットを扱うための分散処理機能を備えています。これにより、スケーラビリティや可用性、耐久性などの面で従来のSQLデータベースよりも優れた性能を実現することが可能です。

NewSQLのメリットとデメリット

■メリット

・スケーラビリティとパフォーマンスの向上

複数のノードでデータを並行して処理することができるため、スケーラビリティとパフォーマンスが向上します。

・拡張性と可用性の向上

分散処理と自動フェイルオーバーなどの機能を利用して、大規模なデータセットやトラフィックに対して拡張性と可用性を向上させます。

・ACID準拠

ACID(Atomicity、Consistency、Isolation、Durability)の原則に従ってデータを処理することができます。これにより、データの整合性と信頼性が確保されます。

・SQL互換性

SQLを使用してデータを操作することができます。これは、従来の関係型データベースと同様のクエリ言語を使用することができるため、既存のスキルやツールを活用できるという利点があります。

■デメリット

・学習コストと導入の複雑さ

従来のデータベースとは異なるアーキテクチャや概念を持っている場合があり、学習コストがかかることがあります。また、導入や運用には専門知識が必要な場合があります。

・柔軟性の制限

NewSQLデータベースは、NoSQLデータベースほど柔軟性が高くありません。特定のデータモデルや処理パターンに最適化されているため、ある種の柔軟性が制限されることがあります。

・コストの増加

NewSQLデータベースは、導入や運用にかかるコストが高い場合があります。特に、大規模なデプロイメントや高い可用性を求める場合は、コストが増加する可能性があります。

NewSQLの使用例

・オンライン取引処理

NewSQLデータベースは、高いトランザクション処理性能が求められるオンライン取引処理アプリケーションに適しています。これには、銀行や金融機関の取引処理システムや、電子商取引プラットフォームなどが含まれます。NewSQLデータベースの分散処理機能により、大量の同時ユーザーからのトランザクションを効率的に処理することができます。

・リアルタイム分析

広告配信プラットフォームやユーザー行動解析システムなど、大規模なデータセットに対してリアルタイムで分析を行う場合にNewSQLデータベースが役立ちます。

これらのアプリケーションでは、たくさんのユーザー行動やデータを瞬時に分析する必要があります。NewSQLデータベースは、その並列処理や分散処理の機能によって、大規模なデータセットに対して高速かつ効率的に処理を行うことができます。

・クラウドベースのアプリケーション

クラウド環境での柔軟なスケーリングと高い可用性を提供するために使用されます。例えば、クラウド上で展開されるSaaSアプリケーションや、IoTデータを処理するクラウドベースのアプリケーションなどが挙げられます。

現場の声

従来のRDBMSにおいて、特にWriteの負荷対策についてはシャーディングを検討することになりますが、アプリケーション側の実装や運用が複雑になります。NewSQLではそういった複雑さを解決し、実装や運用コストの削減が可能です。

<執筆・監修>

アルサーガパートナーズ株式会社 DX技術用語集制作チーム

(2024年2月時点)