RAG
読み方: ラグ
RAGとは
RAG(Retrieval-Augmented Generation)とは、情報検索(Retrieval)と生成(Generation)の両方を組み合わせたAIの技術の一つです。大規模言語モデル(LLM)による生成に、外部の独自の情報を組み合わせることで、回答精度を向上させます。RAGは、まず大量のデータベースから関連情報を検索し、その情報をもとに新しいデータを生成します。この技術は、単なるデータ生成にとどまらず、既存の情報を活用してより正確で文脈に沿った出力を提供することが可能です。
RAGの特徴
・情報検索
大量のデータベースから関連情報を迅速に検索することができます。これにより、必要な情報を素早く取得し、それを基に新しいデータを生成することが可能です。
・文脈理解
検索された情報を基に、文脈に適した出力を生成します。これにより、より自然で意味のある文章やデータを生成することができます。
・多用途性
情報検索と生成の両方を組み合わせることで、さまざまな分野やタスクに応用可能です。例えば、カスタマーサポートの自動応答システムや学術研究の資料作成などに利用できます。
・精度向上
検索された情報を基に生成するため、単なる生成AIよりも高い精度で関連性のある情報を提供することができます。
・知識のアップデート
常に最新の情報を検索・取得することで、生成されるデータが最新の知識に基づくものとなります。
活用のメリットとデメリット
■メリット
・高精度の情報提供
RAGは検索と生成を組み合わせることで、高精度で文脈に沿った情報を提供することができます。これにより、ユーザーが求める正確な情報を迅速に取得することができます。
・効率的な情報処理
膨大なデータから必要な情報を迅速に検索し、それを基にデータを生成するため、効率的な情報処理が可能です。これにより、時間とコストの削減が期待できます。
・多様な応用分野
カスタマーサポート、コンテンツ生成、リサーチなど、多様な分野での応用が可能です。特に、複雑な情報を扱うタスクにおいてその強みを発揮します。
■デメリット
・情報の正確性の依存
検索された情報が誤っている場合、その情報を基に生成されるデータも誤っている可能性があります。信頼性の高いデータソースの選定が重要です。
・計算リソースの消費
情報検索と生成の両方を行うため、計算リソースの消費が大きくなることがあります。特に、大量の学習情報を扱う場合、リソースの効率的な管理が求められます。
・権利問題
検索された情報の権利や、生成されたデータの権利に関する問題が発生する可能性があります。特に、著作権やデータプライバシーの観点から適切な対応が必要です。
・依存度の高さ
RAGは検索データに強く依存しているため、元となるデータの質が制約される場合、その性能が低下する可能性があります。
現場の声
LLM(大規模言語モデル)の大きな課題の一つにハルシネーション(幻覚)があります。この欠点を補う有効な方法としてRAG(検索拡張生成)が注目されており、弊社でもRAGを活用したシステム開発の実績があります。
その中でRAGの成功には、元となるデータの質が極めて重要なことが分かりました。具体的には、以下の条件を満たす情報が必要です。
(1)LLMが回答を出すために必要十分な情報を含んでいること
(2)冗長な情報が少なくそれ自体で情報として完結しており、コンパクトであること
整理されず構造化されていない雑多なデータを使用しても、出力結果も同様に整理されていない知識の羅列になってしまいます。
したがって、RAGを実際に運用する際は、まず以下のステップを踏むことが成功の鍵となります。
(1)RAGの対象となる組織の情報を精査し、構造化する
(2)一定の基準で情報を分類する
(3)ナレッジとして運用可能な形に整備する(例えばWiki等)
(4)整備された情報を元にRAGへデータを入力する
これらのプロセスを経ることで、RAGの効果を最大限に引き出すことができるでしょう。
<執筆・監修>
アルサーガパートナーズ株式会社 DX技術用語集制作チーム
(2024年6月時点)