DX技術用語辞典

by Arsaga Partners

UAT

読み方: ユーエーティー

UATとは

UATは(User Acceptance Testing、ユーザー受け入れテスト)、システム開発を開発ベンダーに外注して納品された時に、実際に利用する環境またはそれに近い環境でシステムを使用し、問題がないかを確認するテストのことです。また、情報システムの開発を外部に委託した場合に、その最終段階で発注元(ユーザー企業)側が納品を受け付けるか否かを判定するための試験を指します。

UATの種類

・運用テスト

バックアップ・リストア・ユーザー管理が問題なく行えるか、災害時復旧やセキュリティに問題がないかといったさまざまな観点から運用性を検証するためのテストです。

・負荷テスト

システムが実際の運用状況においての負荷に耐えられるか、またユーザが期待する性能の基準に達しているかといったシステムの性能を検証するためのテストです。

・マニュアルテスト

システム・ソフトウェア運用に関して作成されたマニュアル内の文章が、正確なものとなっているかどうかを検証するためのテストです。

・契約によるテスト

契約書に記載されている内容を満たしているかどうかを検証するためのテストです。

・規定によるテスト

ユーザーがソフトウェアを実際に利用するにあたって、法律や安全基準といった観点から問題がないかどうかを検証するためのテストです。取扱分野によって、具体的なチェック項目は異なります。

・現新比較テスト

現行のシステムと発注している新たなシステムを同じ条件で稼働させ、出力データ結果が一致するかどうかを検証するためのテストです。新たなソフトウェアへ移行する場合は必須かつ最も重要な種類となります。

UATで考慮すべきポイント

・適切なユーザーの選定

UATの成功には、適切なユーザーを選定することが不可欠です。製品を実際に使用する予定のユーザーグループを選び、その人々のバックグラウンドやスキルレベルに応じて、UATのテストケースやシナリオを設計することが重要です。

・明確なテストケースとシナリオの設計

UATを効果的に行うためには、明確で包括的なテストケースとシナリオを設計することが必要です。ユーザーが実際の業務プロセスを再現できるようなテストケースを用意し、製品の主要な機能やユーザーエクスペリエンスに焦点を当てるべきです。

・仕様変更した機能とその周辺機能を優先してテストする

開発の途中で仕様を変更すると、開発側としては限られた時間の中でどのように機能を実装するかに傾いてしまい、設計変更が既存の設計部分への考慮漏れや対処漏れを生じさせてしまうことがあるため、優先してテストすることでリスクを軽減することができます。

・実環境と実データでテストする

特に外部委託の場合は、委託先では疑似環境やデータを使用しがちであり、最終リリース前に本番環境への移行処理の見落としが起こりやすいため、実際の運用環境とデータを使用することが重要です。

UATを使うメリットとデメリット

■メリット

・ユーザー視点での評価

UATはユーザー自身がシステムを使用することで、開発者が見落としがちな問題を発見できます。

ビジネス要件の確認

UATを行うことで、システムが実際のビジネス要件を満たしているかを確認できます。これにより、早期に問題を発見し、適切な修正を行うことができます。

・ユーザーの満足度向上

システムがユーザーの期待を満たしているかを直接確認することで、ユーザーの満足度を向上させることができます。

■デメリット

・不足または誤ったフィードバック

ユーザーは専門的な知識を持っていないことがあり、システムのバグや問題の原因を正確に特定できないことがあります。その結果、実際の問題が見逃されたり、不正確なフィードバックが得られることも考えられます。

・時間とコスト

UATの実施は時間とリソースがかかり、ユーザーのスケジュールの都合を合わせる必要もあるため、大規模なプロジェクトでは調整が難しく、コストがかかることがあります。

・不十分なテストカバレッジ

UATは通常、主にエンドユーザーの視点からのテストとなりますが、システム全体のテストカバレッジが不足する可能性があります。

・重要な機能の見落とし

UATが始まる前に、プロジェクトマネージャーや開発者が特定の機能や要件を見落とすことがあります。これにより、ユーザーが期待する機能が不足している可能性があります。

・セキュリティとプライバシーの懸念

UATでは、実際のデータやプロセスが使用されることがあるため、セキュリティやプライバシーの懸念が発生する可能性があります。

現場の声

「ユーザー受け入れテストは通常テストの最終段階で実施され、ユーザーの視点からシステムが受け入れ基準をクリアしているか確認するものです。この段階で受け入れ基準が明確であり、要求定義と一致していることは、システムの最終的な品質に大きな影響を与えます。

受け入れシナリオが要求と異なったり基準が甘くなったりすると、手戻りが発生したり、本番運用時に問題が浮上することが度々あります。そのため、委託者と受託者が協力して、品質の高い受け入れ基準を策定することがシステム開発においては重要です。」

<執筆・監修>

アルサーガパートナーズ株式会社 DX技術用語集制作チーム

(2023年12月時点)