社員インタビュー
連続起業家の思考を覗き見!アルサーガとの合併背景、そして実現したい未来とは
社員インタビュー
M&Aを検討している方必見!「人をつくるアルサーガ。」連載第94回は、連続起業家であり、現在は新規事業室 室長としてAI事業を推進している加藤さんに話を聞きました。
学生起業を皮切りに三度の起業経験を持つ加藤さん。上場企業への売却を終えた後、休む間もなく新会社を設立し、常に挑戦を続けています。その理由について、彼は「新しい事業を立ち上げて仮説検証を繰り返し、考えたことを社会実装して実現させることが一番楽しい」と話します。今年の6月には、自身の会社であるアバタッチを売却し、アルサーガパートナーズ(以下、アルサーガ)と合併しました。
アルサーガパートナーズ株式会社、アバタッチ株式会社を吸収合併:https://www.arsaga.jp/news/pressrelease-absorption-merger-avatouch-20240628/
今回のインタビューでは、アルサーガとの合併の背景やその先に実現したいこと、M&Aを検討している経営者へのアドバイスなどを伺い、加藤さんの思考を深く探りました。事業を売却する側の貴重なエピソードをぎゅっとまとめていますので、ぜひご期待ください。
目次
三度の起業とアルサーガ代表との出会い
――これまでの経歴について教えてください。
フリーランスエンジニアとしてキャリアをスタートし、22歳の頃に学生起業をしました。最初はオンライン英会話スクールを立ち上げ、その後、合コンのマッチングサービスなどを手がけ、その事業を売却して得た資金で名古屋から東京に拠点を移しました。
25歳の頃には、二度目の起業としてLINEのチャットボット事業を立ち上げました。このとき、泰明さん(アルサーガ代表)からエンジェル投資を受け、事業は順調に成長していきました。しかし、SaaSバブルが数年以内に終焉するだろうという短期的な投資家の見立てや、上場後も成長し続けられる事業ではないとの考えから、今後の人生について考え直し、最終的に会社の売却を選択しました。
その後、すぐに三度目の起業を果たしました。これからは『人と人』とのコミニケーションよりも、『人とAI』がビデオ会議のようなフォーマットで会議する機会が増えるだろうと予測し、AI技術を活用したZoomのようなUIを持つコミュニケーションツール「アバタッチ」を開発し、事業を展開していました。
(参考) 僕がチャットボット市場に参入してから会社売却するまでの話:https://note.com/tomotomo1/n/n0ac6222b5928
――泰明さんとはもともとお知り合いだったのですね。
泰明さんとの出会いは約10年前にさかのぼります。当時、泰明さんはトライフォートという会社で急成長を遂げており、ベンチャー業界で注目を集めていました。私はIT業界で活躍する有名な方々にぜひ会ってみたいと思い、Facebookで片っ端からメッセージを送っていました。そして、返信をくれたのが泰明さんでした。
私が当時推進していた事業への熱意を伝えたところ、泰明さんが「ぜひ会いたい」と言ってくれたのです。後から聞いた話ですが、初めて会ったときに泰明さんは「めちゃくちゃポテンシャルがある」「すごい良い変なオーラを感じる」と私に興味を持ってくれていたそうです(笑)。それをきっかけに、時々食事に行く関係になりました。
その後、泰明さんがトライフォートを辞めて、自身でアルサーガを設立する際、私の会社の事務所に空きがあったため、創業初期には事務所を一部共有していました。そのため、創業期から近い場所でアルサーガの成長を見ていました。
人生を悟り、新たなキャリアを切り開く
――アルサーガに入社・合併を決意した経緯についても教えてください。
入社前の状況としては、私自身会社経営をしていました。会社経営は、どのような波に乗るのかがとても重要です。その中で、私が経営していたアバタッチ社は、生成AIという大きな波に乗り、資金調達も順調に進んでおり、リード投資家も決まっている状態でした。
しかし、ベンチャー企業で短期的に成功する以上に、上場し成長し続けるためには、「Moat」*と呼ばれる大きな競争優位性が必要です。
*Moatとは、本来、城や要塞を敵から守るために掘られた広く深い堀を指します。しかし、経営戦略の文脈では、企業が競合他社から自社を守るための競争優位性や参入障壁を比喩的に表す言葉として使われています。
具体的には、ブランド力、特許、規制上の許可、コスト優位性、ネットワーク効果など、企業が競合に対して獲得する様々な防御的な優位性を「Moat(モート)」と呼びます。
過去には、モバイルシフトや私自身が取り組んだチャットボットの転換など、IT業界では、さまざまな波が訪れてきました。モバイルシフトの波では、メルカリやLINEがネットワークエフェクトを活かして成功を収めました。
そうした経験を踏まえ、今回の生成AIという技術を冷静に分析したときに、GAFAMを含めたすべての企業が先頭を走っていることから、これまでの波とは大きく違っていると感じました。また大手企業に営業した際にも、過去の「イノベーションのジレンマ」からの学びを活かし、生成AIを自社事業として取り入れようとする企業が多く見受けられました。
このことから、従来のように大型の資金調達をして勝ちにいくという戦略が、必ずしも正しい戦い方ではないのではないかと思ったのが大きな要因となり、新たなアプローチが必要だと感じるようになりました。
そのため、資金調達を進める一方で、私が関わることで相手企業に大きなメリットがあるパートナーを模索していました。その中で、株主でもあった泰明さんの会社を候補とし、Sler事業とコンサルティング事業に次ぐ大きな柱として、生成AIでのサービス構築を実現できれば、アルサーガ社にも大きなメリットがあると考えました。
また、現金での買取ではなく、株式交換での合併だったため、生成AIによる大きな事業が実現すれば、私自身にもメリットがあると判断しました。加えて、泰明さんへの恩返しをしたいという思いも大きな決め手となりました。
そのため、すぐに自社の株主全員とコミュニケーションをし、合併に向けて約半年間、財務、法務、労務などのデューデリジェンスを行い、最終的に入社することになりました。
――現在はどのような業務(役割)を担当していますか?
現在、私は主にAIソリューションの開発を担当しています。特に注力しているのは、「ノープロンプト」という、プロンプトなしでも使えるAIツールのパッケージ開発です。
開発しているソリューションの一例として、Zoomなどのオンライン会議でAIを活用する技術があります。これは、人とAIのコミュニケーションが増えるという仮説に基づいて開発されたもので、採用や営業などのビジネスシーンでの活用を想定しています。
単独でサービスを育てるのではなく、パッケージ開発に力を入れているのは、大企業も生成AIを活用した事業展開に積極的であるためです。彼らを支援することで、より「日本のAI事業の活性化」が進むと考えています。
私たちが目指しているのは、ChatGPTのような汎用的なツールではなく、各ユースケースに最適化されたUXを提供することです。これにより、多くの人が気軽にAIに触れることができるようにしたいと思っています。
――独立していた頃と比較して、アルサーガに魅力を感じる部分があれば教えてください。
長年の会社経営を通じて学んだ大きなことは、会社の規模は中にいる経営者の数によってほぼ決まるということです。単純な社員数ではなく、新たな事業を生み出す力を持ち、多少の反対意見があっても進められるような人が必要です。そういった意味で、アルサーガには経営者的な人物が多く魅力的に感じています。
――アルサーガのミッションである「人をつくる」において、加藤さんが意識していることはありますか?
新規事業室では、エンジニアが一人で事業を立ち上げ、新規事業の成功体験を積ませるという新しいロールモデルをつくる取り組みをしています。
請負型の仕事では、依頼されたことだけをこなすことで満足してしまうことがあります。しかし、自分で事業を立ち上げる際には、依頼元企業にどのような価値を提供できるかが最も重要です。この点から、事業を創り出せるエンジニアが増えることは、常に提供価値を意識して開発に取り組むエンジニアを育成することにつながり、それ自体がアルサーガにとって大きな価値となります。このようなエンジニアが増えることで、会社全体の提供価値への意識も高まり、「人をつくる」というミッションの実現に一層近づくと考えています。
海外事業の拡大でデジタル赤字解消を目指す
――これから実現したいこと、挑戦したいことなど、今後の展望を教えてください。
AI技術を活用したサービスを海外の大手企業と組んで展開し、外貨の獲得を目指しています。
日本で提供しているサービスをテスト的に海外向けにリリースしたところ、毎週お問い合わせをいただいています。しかし、現状では対応できる人材が不足しており、私自身も十分な対応ができていません。今後は、この分野に対応できる人材を採用し、海外での売上を拡大していきたいと思っています。
さらに、単独での事業展開だけにとどまらず、海外の大手企業とともに事業を展開していきたいと考えています。これは、アルサーガが解決したい社会課題である「デジタル赤字の解消」において、資本流出を防ぐだけでなく、外貨の獲得にもつながるため、今後の大きな目標として挑戦していきます。
――同じ状況にいる他の企業の経営者に対して、アドバイスがあればお願いします!
外部株主を迎え入れた時点で、必ず何らかの出口戦略が求められます。その際、上場か売却かの選択が迫られますが、現在の上場市場がやや停滞している中で、自分の年齢や人生で実現したいこと、そして事業の構造的な特性を総合的に判断することが重要です。
私自身、最初の会社を売却した際には、自分の会社が自分の人生そのものだと考えすぎていました。しかし、一度売却を経験してみると、それは単なる思い込みであり、株式会社という社会の一つの仕組みに過ぎないことを理解しました。そのため、フラットな視点で考えることが大切です。
『自分が本当にやりたいこと』『人生で大切にしたいもの』『期待するリターン』『リターンを得るまでにかかる時間』『株主へのリターン』といった要素を一つひとつ書き出してみることで、より明確な判断ができるのではないでしょうか。
――ありがとうございました!
(取材・編集・文=広報室 宮崎)
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