日鉄興和不動産株式会社 / マンションの販売がオンラインで完結するDXサービス
Executive Summary
サービス概要
これまで日本の住宅販売分野では、 VR内見やビデオチャットによるオンライン接客等のITシステム活用が進む一方で、情報公開が限定的であることや、インターネットを活用した時間や場所を選ばない購入サービスが展開されていないことなど、顧客の購入利便性に課題がありました。
この課題に対し、日鉄興和不動産はDX:デジタルトランスフォーメーションの観点からアプローチ。物件情報の閲覧・検討に加え、マンションの購入にあたり必要な申し込み手続きや住宅ローン手続き、契約手続きを、ワンストップかつシームレスに提供できる仕組みを実現致しました。
sumune for LIVIO概要
サービス名 | |
お客様名 | |
提供内容 | 戦略コンサルティング・UX・UIコンサルティング・要件定義・システム開発・保守、運用 |
基本体制 | 戦略コンサルタント3名、開発ディレクター1名 デザイナー3名、エンジニア11名 |
シームレスな購入体験を提供するために
1LDKマンションの供給戸数が4年連続でTOP5入りするなど、マンションデベロッパーとして高い実績を持つ日鉄興和不動産社にとっても、「マンション販売の新たな手法をデジタルで構築する」という取り組みは業界に先駆けた挑戦的なプロジェクトでした。
「革新的なサービス開発を、必ず成功させたい」という想いのもと、日鉄興和不動産と、アルサーガパートナーズのプロジェクトははじまりました。
私たちは、プロジェクトのゴールを以下の通り設定しました。
(1)オンラインとオフラインを融合させた新しいマンション購入体験を提供するサービスを開発すること
(2)マンションの情報閲覧から申し込みまで、ワンストップかつシームレスな購入体験を実現すること
「安心感の維持」を見えるカタチに
安心感の維持を実現するため、注文確認・ローン審査・内装工事・重要事項説明・鍵受け取りまで、必要な情報の範囲および情報の見せ方について、社内メンバーに対しユーザーテストを実施しました。
その結果、当初の設計から大きく変わったのが、購入画面のUIです。
開発当初は、食品配達アプリなどに見られるような、トレンドの「プログレスバーUI形式(進捗状況をリアルタイムに表現する画面)」で開発が進行していました。
(開発初期のワイヤーフレーム。「グラフィカルにリアルタイム感のある画面内容にしたい」とのご要望から、ワイヤー画面の設計に取り掛かっていた。※開発中画面のためボカしを入れております※)
ユーザーテストの結果、プログレスバー上での進行認知度と、実際の購入ステータスに乖離があることが判明。購入ステータスへの明瞭度を上げ、ステータス進行の認知差分を埋められるよう、タイムライン形式での画面設計へ方針を大きく転換しました。
(開発フェーズ第二稿のワイヤーフレーム。タイムライン形式に方向性を転換し、過去に完了した手続き、現在の手続き、未来の手続きを網羅し、購入プロセス全体における現在のステータスへの認知を確保。※開発中画面のためボカしを入れております※)
最終的には、画面上部に現在ステータスを表示させ、直近の手続きやユーザーが次に取るべき行動を把握できるようなデザインを設計。画面下部には、マイルストーンを表示することで、購入プロセス全体を見渡すことができ、安心感を提供できるUIを構築。
合計4回のワイヤー設計とプロトタイピングのもと、「sumune」の安心感が生まれました。
新規事業を創出するようなDXプロジェクトでは、新しい体験をユーザーへ提供するために、抽象と具体を何度も行き来するプロセスが必要です。そのサイクルを早めるため「速く作り、すぐ壊して作り直す」というアジャイル的な思考に基づいてプロトタイピングを行いました。結果として400画面という私たちとしても前例のないほどの大きな数のプロダクト検証を行いましたが、日鉄興和不動産社様とアルサーガがワンチームとなりコミュニケーションの速度を高めることで、最適解を追求することと、無事納期通りにリリースすることを両立できました。
情報の透明性を徹底的に追求
日鉄興和不動産の開発メンバーと、アルサーガパートナーズとの議論で生まれたのは、本サービスのキーファクターである「非会員であっても、必要な情報にたどり着けるサービス設計」です。
従来型の不動産販売サービスでは、会員・非会員ユーザーが閲覧できる情報が区別されていました。
そのため「sumune」も、当初は従来型のサービスを踏襲し、「会員・非会員ユーザーごとに閲覧機能を区別する」という前提で設計が進行していました。しかしプロトタイプ検証を繰り返していくと、会員・非会員ユーザーで提供する情報を分けることに、違和感がありました。
そこで、プロジェクトメンバーでディスカッションを行い、目指すユーザー体験に「フリクションレス:ユーザーにとって摩擦のない状態」を再定義。
購入に至る意思判断のために必要な複数の情報を、会員/非会員問わず、サイト内部にて全て提供できるよう、サービス設計をブラッシュアップしました。
このプロセスを経て、会員登録なしで価格表、図面集、管理規約、修繕計画等のPDFにアクセス可能、かつ全てダウンロード可能な仕組みが生まれました。
また、非会員の料金シミュレーション機能についても、見積合計額まで確認できる仕様へ変更。「会員登録をした場合には、100万円分のポイントが付与されること」を表示し、会員登録を訴求するタッチポイントを配置しました。
「sumune for LIVIO」の世界観を実現するために
また2社の開発定例に出席したメンバーは、その日に決定した内容および変更になった項目を、その背景も含め関係者に告知するようにしていました。サーバーサイド、フロントエンド、デザインで仕様の認識に齟齬が発生しないよう、常に共通認識をもち、開発チームが一体感を持ってプロジェクトに取り組めるようなコミュニケーション体制を意識していました。
熱量の高いチームで、「ユーザー中心」のプロダクトへコミット
チーム運営では、プロジェクトマネージャーだけではなく、各開発ユニットのリーダー(デザイン、フロントエンド、サーバーサイド)がそれぞれ専門分野に対してオーナーシップを持ち、「ユーザーにとって本当に使いやすいサービス」を実現するため、活発に議論を行うカルチャーが醸成されています。そして、2021年7月16日のローンチ以降も、「sumune」のサービス向上に向け、熱量高くコミットさせて頂いています。
「sumune」が実現する世界の大きさに比例するように、保持するデータ量や開発チームの人数規模も大きいプロジェクトでした。多くのメンバーが係わるプロジェクトで、一人残らず熱量高く取り組ませていただけたことは本当に奇跡的です。ローンチ後も、追加で実現したいことをリクエスト頂き、挑戦が続けられることを大変ありがたく感じています。
お客様の声
(日鉄興和不動産株式会社 企画本部 イノベーション・DX推進室 兼 広報室 和田 浩明様)
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RELEASE
2021年07月16日
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CLIENT
日鉄興和不動産株式会社
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DEVICE
PC・スマートフォン
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SERVICE
マンションの販売がオンラインで完結するDXサービス
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